子どもの笑顔に国境はない(14)

ベトナムの学校へ子どもたちに会いに行こう④

突然訪れたとても素朴な農村 女の子が家のお手伝いをしていた

突然訪れたとても素朴な農村 女の子が家のお手伝いをしていた

小学校二年生の教科書から「自然」

 前回は、小学校1年生の教科書「自然と社会」から自然の分野について紹介しました。今回は、まず、小学校2年生の教科書「自然と社会」(2003年6月印刷発行)から同じく自然の分野を紹介します。

左が2年「自然と社会」の表紙  右が「自然」の分野が始まるページ

左が2年「自然と社会」の表紙  右が「自然」の分野が始まるページ

第24課 植物はどこに生えていますか

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周囲の植物を観察して、それらが生えている場所について言いなさい。
植物はどこで育つことができますか。

第25課 陸の植物

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写真の植物の名前を言い、役立つことを挙げなさい。
あなたが知っている陸に生えている植物の名前をいくつか言いなさい。
それらの役立っていることを挙げなさい。

第26課 水の植物

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写真の植物の名前を指さしながら言いなさい。
あなたが知っている水に生えている植物の名前をいくつか言いなさい。
それらの役立っていることを挙げなさい。

第27課 動物はどこに棲んでいますか

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どの写真ですか
陸上に棲んでいる動物は?
水中に棲んでいる動物は?
空を飛ぶ動物は?
動物はどこに棲むことができますか?
動物の絵や写真を探して、それらの棲んでいる場所について言いなさい。

第28課 陸上に棲んでいる動物

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指さして写真の動物の名前を言いなさい。
人が飼う動物はどれですか、野生の動物はどれですか?
「この動物なあに?」

第29課 水中に棲んでいる動物

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指さして名前を言い、いくつかの写真の動物の役立ちを挙げなさい。
淡水に棲む動物と海水に棲む動物の名前を言って競いなさい。

第30課 植物と動物の認識

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指さして言いなさい─どの植物が陸に生えますか。どの植物が水に生えますか。どの植物が陸にも水にも適応していますか。
指さして言いなさい─どの動物が陸に棲んでいますか。どの動物が水中に棲んでいますか。どの動物が水にも陸にも適応していますか。どの動物が空を飛びますか。

第31課 太陽

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太陽を描き、色をぬりなさい。
①太陽は丸く、一つの巨大な「火の玉」に似ています。
②太陽は明るく照り、地球を暖めます。
③太陽は地球から大変遠いところにあります。
あなたは太陽についてどんなことを知っていますか。
まだ沈んでいて出てきていない太陽を想像しなさい。これから起こることを何と言いますか。

第32課 太陽と方向

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毎日、太陽はいつ出てきて、いつ沈むのでしょうか。
太陽は、どの方向から出てきて、どの方向に沈むのでしょうか。
①日の出(の写真)
②日の入(の写真)
写真に基づいて、太陽で方向を探す方法を挙げなさい。
日の出の方(図の説明)
③東西南北(の図)
「太陽で方向を見つけ出しなさい。」

第33課 月と星

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月と星のある空を描いて色をつけなさい。
①月は丸くて、一つの「大きな球」に似ていて、地球から遠いところにあります。
あなたは月についてどんなことを知っていますか。
②中秋の十五夜に、あなたはどんな月を見るでしょうか。
③あなたは空の星座についてどんなことを知っていますか。
④それは、太陽に似ているいくつもの巨大な「火の玉」です。それらは地球から大変遠い遠いところにあります。
雲の少ない夜の空を見上げてごらんなさい。あなたは何を見ることができるでしょうか。

第34─35課 復習 自然

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「宇宙に遠出しよう」
参観(しよう)─学校(または興味のある畑)の周りの自然の風景と事物

小学校3年生の教科書「自然と社会」から

 小学校3年生の「自然と社会」の教科書は、2005年頃から書籍の大きさが大きくなり、内容にも変化がありましたが、この新版の教科書を訳す機会がありませんでしたので、ここでは、旧版の教科書(2003年1月印刷発行)を紹介します。
また、ここで紹介するのは、全訳ではなくて、項目だけの紹介としますが、ベトナムの子どもたちがどのような内容を学習しているかを知るには、ひとまずそれで十分だと考えるからです。

四 植物
 ⑴植物の体
 ⑵植物の根
 ⑶植物の葉
 ⑷花
 ⑸果実
五 動物
 ⑴エビ
 ⑵魚
 ⑶アヒル、袴アヒル
 ⑷飼い鳩
 ⑸豚
 ⑹水牛
 ⑺牛
 ⑻羊
 ⑼鹿(星模様のある)
六 人体
 ⑴各消化器官
 ⑵消化活動
 ⑶血と各循環機関
 ⑷循環活動
 ⑸各呼吸器官
 ⑹呼吸活動
 ⑺各小便の排泄器官 小便の排泄活動
七 太陽と地球
 ⑴太陽は光と熱の根源です
 ⑵太陽は全てのものを明るく照らし、温めます
 ⑶地球は球形をしていて回っています
 ⑷地球は太陽系の中の惑星のひとつです 月は地球の衛星です
 ⑸地球儀 ─ 地球を縮小した模型
 ⑹地球上の昼と夜
 ⑺年、月、四季
 ⑻各気候領域
  ①熱帯
  ②温帯
  ③寒帯
 ⑼地球の表面
 ⑽陸地の表面

小学校4・5年生の教科書「自然と社会」の一冊目「科学」から

 ここで紹介する教科書は、4年生が2002年3月、5年生が2003年5月に印刷発行されたものです。現在では旧版になってしまいましたが、新版の教科書を訳す機会がありませんでしたので、ここでも旧版を紹介します。
4年生「自然と社会」 一冊目「科学」

一 光と熱
 ⑴光
 ⑵かげ
 ⑶暑さと寒さ
 ⑷温度、温度計
 ⑸熱のそれぞれの源
二 水
 ⑴水の性質
 ⑵地球上の水のそれぞれの源
 ⑶水の三態
 ⑷自然の中の水の循環
 ⑸清潔な水の作り方
 ⑹きれいな水を集めたり保管して使います
三 空気
 ⑴空気は私たちの周囲にあります
 ⑵空気のそれぞれの性質
 ⑶空気のそれぞれの成分
 ⑷空気は燃焼に必要です
 ⑸空気は生きるために必要です
 ⑹空気は生活の中の音声や音を伝えるのに必要です
 ⑺空気は揺れて風をつくります
 ⑻嵐を予防し嵐に抵抗します
 ⑼健康に良い澄んだ空気を守ります
四 土、石、鉱石
 ⑴栽培する土
 ⑵栽培する土の成分、栽培する土を守る
 ⑶粘土
 ⑷石灰岩
 ⑸砂利、蜂の石、玉石
 ⑹砂
 ⑺金属類
 ⑻石炭
 ⑼見渡す限りのA-PA
 ⑽食塩
五 植物、動物
 ⑴植物の生長にとっての水
 ⑵動物の生活にとっての水
 ⑶植物の生長にとっての養分
 ⑷動物の生活にとっての栄養
 ⑸植物の生長にとっての空気
 ⑹動物の生活にとっての空気
 ⑺植物の生長にとっての光
 ⑻動物の生活にとっての光
 ⑼植物の生長にとっての熱
 ⑽動物の生活にとっての熱
六 人体
 ⑴人の中で質を交換する
 ⑵神経系
 ⑶実行
 ⑷身体に対する神経系の役割

五年生「自然と社会」 一冊目「科学」

一 常用するもの
 ⑴服装
 ⑵生活家庭用品
 ⑶学習道具
 ⑷労働用具
 ⑸実行 交通運搬手段
 ⑹通信手段
二 常用物の各性質
 ⑴常用物のいくつかの性質
 ⑵混合と溶液
 ⑶混合物の中のそれぞれの性質を分けることと、溶液の中のそれぞれの性質を分けること
 ⑷それぞれの性質の化学変化
 ⑸炭坑
 ⑹油田
 ⑺金属類と合金
  ①鉄
  ②銅
  ③亜鉛
  ④錫
  ⑤鉛
  ⑥ニッケル
  ⑦アルミニウム
  ⑧銀
  ⑨水銀
  ⑩金
 ⑻ゴム
 ⑼陶器、ガラス
 ⑽石灰、セメント
三 常用物のエネルギー(直訳は「能量」)
 ⑴エネルギー
 ⑵太陽、風、流れる水の使用
 ⑶燃料の使用
 ⑷磁石の使用
 ⑸光をつけるための電気の使用
 ⑹温かく燃やすための電気の使用
 ⑺機械を動かすための電気の使用
 ⑻電気を使っている時に浪費を避け、安全を保障する
四 植物と動物の繁殖
 ⑴花を咲かす植物での繁殖
 ⑵やってみよう 種子を植える
 ⑶やってみよう 植物の一部や枝を植える
 ⑷動物の繁殖
 ⑸ハエの繁殖
 ⑹カエルの繁殖
 ⑺繁殖と小鳥を飼うこと
 ⑻繁殖と子鹿を飼うこと
 ⑼繁殖とトラの子どもを飼うこと
 ⑽繁殖とサルの子どもを飼うこと
五 人体の誕生と発展
 ⑴人の生殖
 ⑵生まれた新しい幼い体のいくつかの特色
 ⑶人体の成長
六 人間と環境
 ⑴環境と資源
 ⑵人間の生活に対しての自然の環境の役割
 ⑶環境で起こる人間の影響
 ⑷人口と耕地面積
 ⑸人口と森の資源
 ⑹人口と土地の汚染
 ⑺空気と水の汚染
 ⑻環境を守るいくつかの解決方法
 ⑼やってみよう 教室と庭の衛生に気をつけよう

 以上のように、ベトナムの小学校での自然科学の教授内容を見てみると、日本とはかなり違って、学習内容が多岐にわたっていることが分かります。そこには自然現象や自然物を生活とのかかわりで取り上げ、基礎的な理解を求めているように感じます。

 例えば日本の小学校では、金属という概念をあいまいにしていますが、ベトナムではそれぞれの金属について、詳しく解説しています。実際、様々な金属に囲まれて生活しているのですから、それぞれの金属の性質について知っていることは重要です。

 地学についても、ベトナムでは小学3年生に、地球の自転や公転、太陽系の仕組みなどについて教えています。日本では、小学3年生では、太陽の動きを影の動きの観測を通して教えます。そして、小学4年生では、月の満ち欠けや見える位置などを教えます。

 この両者の教授の違いはかなり決定的であるように思えます。日本では、太陽や月の動きなどの現象を教えるのですが、ベトナムでは、そのように見える天体の仕組みを教えています。

 ところで、筆者は、前々回の寄稿で、ベトナムの小中学校の教育設備について触れています。その中で、ベトナムの小中学校には、通常理科室がないことに言及しています。筆者が交流を続けているディエンビエン第二小学校では、理科の実験器具や教材教具は、わずかしかないようでしたから、この児童用の教科書をほぼ終始使って教えていることになります。それで良いのかなとも思うのですが、子どもたちの生活に即した題材を取り上げている点を考えれば、小学校では、それほど教材を用意することは必要でないのかも知れません。

 日本の子どもたちは、理科離れしていると言われています。国際教育到達度評価学会が実施した「国際数学・理科教育調査」によれば、日本の生徒は成績が良いにもかかわらず、理科が面白いと思う生徒が極めて少ないことが挙げられています。また、「科学技術と社会に関する世論調査」でも、国民の科学技術に対する関心は先進諸国と比較して極めて低いとされています。

 ベトナムの子どもたちは、自然科学に対して、どの程度の知識を持ち、また関心を持っているのか、日本の子どもたちと比較研究する上でも、機会があればぜひ知りたいと思います。

 最後に、14回にわたる本稿をお読みいただいたことにお礼を申し上げますとともに、本稿が、ベトナムの教育の現状をご理解いただく一助となり、さらに微力ながら日本とベトナム両国民の友好親善に貢献できれば幸いです。

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