アリを育ててみよう(3)

3.飼育観察容器を作ろう

 実は、アリを採取に行く前にしておきたいことがありました。それは、飼育観察容器の準備です。アリの観察容器については、たくさんの人が考案しています。本稿では、これまで知られていなかった飼育観察容器を紹介しますので、是非製作にチャレンジしてみてください。

 これから紹介する飼育観察容器は、筆者が小学校中学年の頃に考えたものです。当時プラスチックの透明な容器は貴重なものでしたが、筆者の家には健康剤の「グロンサン」という透明な容器がありました。この容器を使って庭にたくさんいた小型のアリを飼うことにしました。普通は土を入れて、容器の回りを黒い紙などで包んでしまえば良いのですが、アリは、巣を立体的に掘るのですから、巣の中の一部しか観察できません。そこで、強制的に容器に接するところにだけ巣を作らせればよいと考えたのですが、そのためにはどうするかということです。そこで発想を180度転換したわけです。アリが人間の希望どおりに巣を作らないのなら、人間が巣を作ってアリに与えれば良いと考えたのです。つまり、人工巣を作るというアイデアです。

第1図 グロンサンの容器を利用した初期の人工巣

第1図 グロンサンの容器を利用した初期の人工巣

 グロンサンの容器は、上に行くほどわずかに広くなっていました。ですからちょうどよかったのですが、この容器の中に8分目ぐらいのところまでセメントを流し込みました。そうしておいて、完全に固まる前に、逆さにしてセメントを抜き取り、彫刻刀でアリの巣に似せて表面を掘り取るのです。そして完全に固まってから、元のグロンサンの容器に入れました。セメント製の人工巣の出来上がりです(第1図)。

 この飼育観察容器でトビイロシワアリ(体長2.5 mm、体色は褐色から黒褐色、西南日本ではもっとも普通に見られる)を飼育していました。正確な記憶はないのですが、1年以上飼育していたと思います。トビイロシワアリが幼虫を世話するところや、このアリは繭を作らない種ですので、直接蛹の様子も観察できました。

第2図 直径15cmのクロオオアリ用の人工巣

第2図 直径15cmのクロオオアリ用の人工巣

 クロオオアリを飼育するには、もっと大きめの容器を用意する必要があります。筆者は中学生の時には、直径15cmのプラスティックの容器を使いました(第2図)。これから、皆さんが製作する場合には、カブトムシなどのプラスティック製の飼育容器を利用するとよいでしょう。小さいサイズで結構です(第3図)。筆者は今でもコンクリートで作っていますが、石膏を流し込む方法もあるでしょう(石膏の場合は完全に固まってからでも掘ることが容易です)。巣の形に掘るときには、奥行きを充分にとるようにするのがコツになります。丹念に掘り進みましょう。

 また、固める際に、ホールスライドグラスやカバーグラス、時計皿、管瓶、枝などを配置しておくと埋め込めたり、型が取れたりして便利です(第2図参照)。

 蓋には、透明なプラスティック製の板や、細かい穴の空いたアルミニウム製の板を使うと良いでしょう。

第3図 カブトムシの飼育容器を利用した人工巣

第3図 カブトムシの飼育容器を利用した人工巣

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