アリを育ててみよう(2)

2.アリの家族をまるごと採ってこよう

 では、いよいよフィールドへ出かけましょう。

用意するもの

○移植ごて(理科備品としてはいわゆる「根掘」、できるだけ幅の狭いものが良い)
○大小のスプーン(薬さじ)
○空のペットボトル(三角フラスコが使い勝手が良い、蓋になるものも必要)
○漏斗(ロート)
○小筆(先をばらしておく)
○ピンセット
○容器2個(小さなどんなものでも良い、女王アリや卵・幼虫・蛹などを入れて持ち帰る)

 さて、準備は整いましたが、どこに行って採取すれば良いかが問題ですね。クロオオアリがいそうなところですが、既述したように山間部には必ず生息していますから、山をめざして出発しましょう。ただ山間部と言っても、都会の小高い丘や森にも生息しているかも知れませんから、そこも調べてみることをお忘れなく。筆者は、少年の頃、岡山市に住んでいて市内の小高い山でよくクロオオアリを採取していました。

 採取場所で理想的なのは、あまり下草のない、赤土がむき出しになった斜面です。下草が生い茂っていると、働きアリを発見しても、草の葉に隠れて巣穴を探し出すのが大変です。赤土がむき出しになっているところは適度に乾燥しているところでもあるのですが、クロオオアリはそうしたところによく巣を作っていますし、そのような場所の赤土だと土がもろくて掘りやすいという利点があります。しかも斜面だと、掘り出した土が下へ自然に落ちますし、採取するときの姿勢が楽で、視線も真横からになりますから、作業がしやすくなります。

 さて、できるだけ斜面の場所でクロオオアリの巣を発見したら、地上への出入り口から巣を掘っていきます。その時使うのが移植ごてであったり大小のスプーンであったりします。クロオオアリの巣穴の通路はかなり大きいですから、丁寧に巣穴に沿って掘り進みます。決して大胆に掘らないでください。巣穴を拡張するような感じで掘り進みます。必ず巣の道を確認しながら掘ります。

 途中働きアリが出てきますから、その都度一匹残らず採取します。その際使うのがスプーンや小筆ですが、アリは興奮していますから小筆を近づければ小筆に噛みつきます。つまり、アリ釣りができるのです。アリの成虫を主に入れるのが、ペットボトルや三角フラスコなのですが、三角フラスコだと地面に置いたとき安定がよく便利です。その際、容器の入り口にロートを置き、ロートにアリを落とせば容器の中に落ちていき、アリが一旦容器の中に入れば、出られなくなります。

 掘り進むとやがて、卵や幼虫や繭なども見つかりますから、これらもスプーンやピンセットなどを使って採取し、別の容器に入れます。幼虫などをくわえている働きアリを採取した場合は、成虫と幼虫などを同じ容器に入れても問題はありませんから、ペットボトルや三角フラスコに一緒に入れても構いません。

 理想的な場所で、クロオオアリの巣を発見したのであれば、巣穴に沿って全ての巣を掘り進むことができます。女王アリも採取することができます。女王アリは、できれば別の容器に入れて持ち帰れば安心です。クロオオアリの巣には、女王アリは一匹しかいません。ですが、夏の終わり頃から翌年の5・6月頃までは、羽のある女王アリや雄アリがいることがあります。このアリは、女王アリであってもまだ卵は産めませんから、必ず、羽のない女王アリを採取するまでは掘り進んでください。

 ちなみに、筆者はクロヤマアリの巣を掘ってみたことがありますが、このアリの場合は、大変地中深くまで巣が続きます。ほとんどの場合は、途中で掘るのをあきらめざるを得ません。ですから、女王アリを採取するのはかなり困難です。これに対して、クロオオアリの巣の深さは、筆者の経験では、地表から30〜50cm位までがほとんどでした。また、深さよりも地面(斜面)に沿って横に広がっていることが多く、しかもせいぜい横1メートル位の広がりのことが多かったと思います。ただし、クロオオアリが本当に大家族を形成したときには、もっと大きな巣になるのかも知れません。

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